【Firmware】Hewからの接続時にIDコードを入力するダイアログが現れて困った件。

Development
2020.05.19

依頼内容

ソースコードは提供されているため、既存製品のE2PROMに書かれた値を確認するよう依頼され、対応することになった。

発生した問題

E8a エミュレータを接続した際、IDコード確認画面が表示され、作業が進められなくなった。

初期対応

・依頼元にIDコードを確認する。
・プログラムを書いた担当者にIDコードを確認する。
結論から言うと、誰に聞いても昔のことで不明でした 。

初期値の入力

資料を調査した結果、ID未設定時の初期値が FFFFFFFFFFFFFF であることが判明。
しかし、初期値として FFFFFFFFFFFFFF を入力しても受け付けられなかった。

Flash Development Toolkitでの接続確認

Flash Development Toolkitを使用し、Motファイルを読み込んだところ、メッセージウィンドウ欄にIDコードが表示されることを確認した。

表示されているＩＤコードの”00000000000000“を入力して、エミュレータは無事起動しました。

原因調査

ルネサスの資料

下記ルネサスのスタートアッププログラムの説明を見ると、3ページ目の”4.1固定ベクタテーブルの設定”と 8ページ目の”4.10 ＩＤコード書き込み”にＩＤコードが記載されている。
High-performance Embedded Workshop スタートアッププログラムの説明
また、E8aエミュレータの使用上の注意事項の38ページには”表7.6 ＩＤコード格納領域”が記載されている。
FFFDFh IDコード 1バイト目
FFFE3h IDコード 2バイト目
FFFEBh IDコード 3バイト目
FFFEFh IDコード 4バイト目
FFFF3h IDコード 5バイト目
FFFF7h IDコード 6バイト目
FFFFBh IDコード 7バイト目
E8aエミュレータの使用上の注意事項

実際のプロジェクト

今回依頼されたソースには”fvector.c“がない。
Flash Development Toolkitでmotファイルを読み込むと、該当領域は”0x00“になっている

新規のプロジェクト作成で試してみる

・作成方法１
プロジェクトタイプで”Application”を選択した場合は、”fvector.c“は作成されず、代わりに”sect30.inc“にＩＤコード”FFFFFFFFFFFFFF“が記載される。

;---------------------------------
; fixed vector section
;---------------------------------
  .section  fvector,ROMDATA
  .org    0fffdcH
UDI:          .lword    dummy_int
OVER_FLOW:    .lword    dummy_int
BRKI:         .lword    dummy_int
ADDRESS_MATCH:.lword    dummy_int
SINGLE_STEP:  .lword    dummy_int
WDT:          .lword    dummy_int
DBC:          .lword    dummy_int
NMI:          .lword    dummy_int
RESET:        .lword  start
;=================================
; ID code & ROM code protect
;=================================
; ID code check function
  .id "#FFFFFFFFFFFFFF"

・作成方法２
プロジェクトタイプで”c source startup Application”を選択した場合は、”fvector.c“は作成され、”fvector.c“にIDコードが記載される。

#pragma sectaddress     fvector,ROMDATA 0xfffdc
#pragma interrupt/v _dummy_int  //udi
#pragma interrupt/v _dummy_int  //over_flow
#pragma interrupt/v _dummy_int  //brki
#pragma interrupt/v _dummy_int  //address_match
#pragma interrupt/v _dummy_int  //single_step
#pragma interrupt/v _dummy_int  //wdt
#pragma interrupt/v _dummy_int  //dbc
#pragma interrupt/v _dummy_int  //nmi
#pragma interrupt/v start
_asm("  .id ""\"#FFFFFFFFFFFFFF\"");

・今回のソースと比較

;=================================
; fixed vector section
;=================================
;-----  fuction define (user)  ---
  .glb    _int_WDT
;---------------------------------
.section  fvector,ROMDATA
.org  0fffdcH
UDI:            .lword  dummy_int
OVER_FLOW:      .lword  dummy_int
BRKI:           .lword  dummy_int
ADDRESS_MATCH:  .lword  dummy_int
SINGLE_STEP:    .lword  dummy_int
WDT:            .lword  dummy_int
DBC:            .lword  dummy_int
NMI:            .lword  dummy_int
; .org  0ffffcH
RESET:
  .lword  start
  ;
  ; ID code check function
  ; .id "CodeChk"

“.id CodeCheck“の記載がないため、IDコードが”00000000000000”となっていると思われる。
コ ード生成日が2008年10月のため、当時はIDコードが自動生成されなかったではないかと思われる。
.id “#FFFFFFFFFFFFFF“を記載しコンパイルしたMotファイルを、Flash Development Toolkitで読み込むとIDコードが”FFFFFFFFFFFFFF“なりました。

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